お授戒

お授戒

 授戒という行事、簡単に言うと、お釈迦様から続く正しい道を歩ための教え、仏教を歩む上でとても大切な教えを授かる・授ける儀式・行事になります。

 受ける側は「受戒」、授ける側は「授戒」という表記になります。ここでいう戒とは、戒めと書きますが、その意味するところはやってはいけないルールとか強制的にこれはダメという決まりではなくて、あくまでも自発的に仏教徒として歩んでいく誓いを立てることになります。

曹洞宗における『戒』とは

曹洞宗で授ける戒は十六条戒といって、16個の戒があります。

それは三帰・三聚浄戒・十重禁戒という戒です。

三帰とは

仏と法と僧の三宝(さんぼう)に帰依(きえ)することを意味します。

・仏とは、お釈迦様のこと。
・法とは、お釈迦様が説かれた教えのこと。
・僧とは、仏と法を守り嗣ぐ僧侶のこと。

帰依とは、帰投(きとう)・依伏(えぶく)と書きますが、自分という存在を投げ入れ、伏することを意味します。
つまり仏様と、その教えと、教えを守る僧侶に対して深く敬い信じることを三帰と言います。

三聚浄戒は、

摂律儀戒・摂善法戒・摂衆生戒の3つの戒のことを言います。


・摂律儀戒(しょうりつぎかい)は、諸々の悪事をなさないこと。
・摂善法戒(しょうぜんぼうかい)は、常に善行を行うこと。
・摂衆生戒(しょうしゅじょうかい)は、全ての人を良い方向に導くこと。

つまり簡単に言いますと、悪いことはせず善いことをし、人のためになることをするという3つの戒を、
三聚浄戒と言います。

十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)

十重禁戒は、

・不殺生戒(ふせっしょうかい)・・・殺さないこと
・不偸盗戒(ふちゅうとうかい)・・・盗まないこと。
・不邪淫戒(ふじゃいんかい)・・・淫らな行いをしないこと。
・不妄語戒(ふもうごかい)・・・嘘を言わないこと。
・不酤酒戒(ふこしゅかい)・・・酒を売ったり溺れたりしないこと。
・不説過戒(ふせっかかい)・・・他人の過失を咎めすぎないこと。
・不自讚毀他戒(ふじさんきたかい)・・・自分の自慢をしないこと。
・不慳法財(ふけんほうざいかい)・・・物やお金など与えることを惜しまないこと。
・不瞋恚戒(ふしんにかい)・・・怒らないこと。
・不謗三宝戒(ふほうさんぼうかい)・・・仏法僧の三宝を謗らないこと。

の10個の戒を指します。

重禁と書きますが、あくまでも破ってはならないということではなく、自ら誓うというところに戒の意義があります。

つまり、この授戒会とは16個の戒、菩薩戒を授かり、仏様がおしめしになったこの決まりを自分たち自らで守って、正しい生活、生き方を示すというのが授戒会という儀式になります。