
この本堂は、北向きに建てられた入母屋造(いりもやづくり)で、屋根は本瓦葺(ほんがわらぶき)です。正面には、向拝(ごはい)と呼ばれる屋根付きの玄関があり、広い縁側が設けられています。
建物は6間(ろっけん)の広さがあり、北側と東側には「切目縁(きれめえん)」という縁側が巡らされています。 柱は四角い角柱を使い、横木(長押〈なげし〉や貫〈ぬき〉)でしっかりと組まれています。屋根の装飾には、虹梁(こうりょう)、蟇股(かえるまた)、懸魚(げぎょ)といった細工が施されていますが、派手すぎず、整った落ち着きのある「方丈形式(ほうじょうしき)」の建物となっています。
本堂について
本堂は文政13年(1830年)、18世・越山叟代(えつざんそうだい)の代に、竹中和泉正敏によって建立されました。江戸後期に建てられた、典型的な曹洞宗の本堂建築です。
構造は桁行9間、梁間7間半の広さを持ち、入母屋造(いりもやづくり)・本瓦葺(ほんがわらぶき)で、正面には1間の向拝(ごはい)が設けられています。 内部は、前面に幅1間半の広縁があり、その奥には6つの部屋が配置されています。内陣の後方には位牌堂が設けられ、柱には面取りされた角柱を使用。周囲には舞良戸(まいらど)や障子がはめ込まれています。
また、内陣中央には「来迎柱(らいごうばしら)」を立て、虹梁(こうりょう)や台輪(だいわ)、格天井(ごうてんじょう)を組み合わせ、前には須弥壇(しゅみだん)を配置。装飾は控えめで、太い木材を用いた質実剛健な造りが特徴となっています。 華美な装飾を避けつつも、どっしりとした重厚な佇まいを持つ本堂は、江戸後期の貴重な建築として、今もその風格を伝えています。
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